健康について考えるとき、

私たちはつい、

「何をすればよくなるのか」

「何を摂ればいいのか」

という問いから入ってしまいます。

サプリメント、健康ドリンク、最新のトレーニング法。

世の中には、健康を「足す」ための情報があふれています。

それ自体が悪いわけではありません。

けれど、その前に一度、立ち止まって考えてみたいことがあります。

そもそも自分にとって、

「健康な状態」とはどんな状態なのか。

そして、その状態からズレるとき、

日常の中で何が起きているのか。


1. 健康とは「プラス」を目指すことではない

健康とは、

何かを特別な努力で積み上げた結果というより、

「本来の健やかな状態からズレていないこと」

ではないでしょうか。

言い換えるなら、

自分にとっての 「±0(プラスマイナスゼロ)」 の状態です。

  • 無理に元気を出していない
  • 必要以上に頑張っていない
  • かといって、極端に疲れてもいない

派手さはありません。

けれど、日常を自然にこなせる、本来の基準点です。

この「自分の±0」を知らないまま対策だけを重ねると、

健康はいつの間にか、

「正解を探し続ける終わりのない作業」になってしまいます。


2. 最初のピースは「自分の通常状態」を知ること

調子を崩しにくい状態を維持するために必要なのは、

最初から特別な健康法に飛びつくことではありません。

まずは、次の問いを自分に投げかけてみてください。

  • どんな生活をすると調子が崩れやすいのか
  • どんなときに体に違和感(サイン)が出るのか
  • 逆に、問題が起きていない日はどんな感覚なのか

数値や理論よりも、

日々の体感を丁寧に観察すること。気づき。

このプロセスを飛ばしてしまうと、

どんなに優れた健康法も、

「自分に合っているのか分からないもの」になってしまいます。


3. 足す前に、ズレを作っている「要因」を特定する

体調が崩れたとき、私たちはつい、

「何が足りないのか」を考えがちです。

ビタミンか、睡眠か、気力か。

ですが実際には、多くの場合、

問題は不足ではなく、

日常の中でズレ」を作り続けている要因にあります。

  • 食事の時間が不規則で、消化器に負担をかけている
  • 夜ふかしが続き、自律神経の切り替えがうまくいかない
  • 脳は疲れているのに、体は動いていないというアンバランス

そして現代社会において、

最も見落とされがちで、かつ深刻なズレの要因があります。

それは、

「座り続ける生活」です。


4. 座り続けることは、現代における最大のリスク因子

座ること自体が悪なのではありません。

問題は、「長時間・連続して・毎日」

ほとんど動かずに座り続けてしまうことです。

最新の研究では、

日本人は世界で最も長く座っている国民の一つ

(1日平均約7時間)と言われています。

進化の視点で見れば、

人類はこれほど長く動かずに座り続ける生活を、

歴史上ほとんど経験してきませんでした。

本来の生活には、次のような動きが頻繁に挟まっていました。

  • 立つ
  • 歩く
  • しゃがむ
  • 移動する

座り続けることで起きるのは、

物理的な停滞です。

  • 下半身のポンプ機能が停止する 第2の心臓と呼ばれるふくらはぎが使われず、血流が滞る
  • 呼吸の浅底化 前かがみの姿勢が胸郭を圧迫し、酸素摂取効率が落ちる
  • 神経の不一致 体は動いていないのに、脳だけが情報の波にさらされ、 軽い緊張状態(交感神経優位)が続く

これが、

「疲れが抜けにくい」

「集中力が続かない」

といった、はっきりしない不調の正体かもしれません。


5. ズレは静かに蓄積し、やがて「通常」を乗っ取る

体の乱れは、

一度の無理で壊れることは稀です。

本当に怖いのは、

生活リズムの乱れや「動かなさ」という小さなズレが、

静かにあなたの

「新しい通常設定(デフォルト)」

になっていくことです。

違和感に慣れてしまうと、

本来の±0の状態を忘れてしまいます。

だからこそ、回復を頑張る前に、

「ズレを作らないための設計」が必要になります。

健康とは、

悪くなってから立て直す技術ではなく、

崩しにくい状態を維持するための

メンテナンス設計なのです。


6. なぜ最初の行動として「歩く」を選ぶのか

では、何から始めればいいのでしょうか。

いきなり生活を完璧に整えるのは困難です。

まずは、「時間を決めて歩く」。

これだけで十分です。

歩くことには、他の運動にはない

圧倒的なメリットがあります。

  • 低コスト 始めるにあたり、道具も技術もほとんどいらない
  • 低リスク 失敗がなく、怪我のリスクも極めて低い
  • 同時作用 血流、呼吸、自律神経、視界の変化など、 複数の要素に同時に作用する

これは単なる「運動」というより、

PCのリセットボタンを押すような、

状態を元に戻すための「初期化」に近い行為です。


7. 「歩く=ダイエット」という誤解を解く

「歩いても痩せないから意味がない」

そんな意見を聞くことがあります。

けれど、それは歩行の価値を

あまりにも狭く捉えすぎています。

歩くことは、負荷としては決して強くありません。

それだけで体重を劇的に減らすのは難しいでしょう。

それでも人類が、

歩くことを中心に進化してきたのには、

明確な生存上の理由があります。


8. 人類と「歩くこと」の深いつながり

人類は、チーターのように速く走れる種ではありません。

代わりに獲得したのが、

二足歩行による高い持久力です。

「持久狩猟(Persistence Hunting)」という説があります。

人類は獲物を一気に仕留めるのではなく、

何時間も、時には何日も、

歩き、追い続けました。

人間には「発汗」という優れた体温調節機能があります。

そのため、歩き続けることで、

獲物が体温調節の限界を迎えるのを待つことができたのです。

この進化の過程で、

私たちの体は

「長く歩く」ことを前提に設計されました。

さらに、歩行とともに、

  • 空間把握
  • 記憶
  • 思考

を司る脳領域も同時に発達しました。

歩くとアイデアが浮かんだり、

気持ちが整理されたりするのは、

単なる気分の問題ではありません。

それは、

「歩くことで脳が整う」という

進化の履歴が、

いまも私たちの中で機能している証拠なのです。


9. まとめ|健康は「日常の設計」から始まる

健康とは、

根性で手に入れる報酬ではありません。

  • 自分の「±0」を知る
  • 座りっぱなしによる「ズレ」を自覚する
  • 歩くことで、静かに「本来の設計」に戻る

調子を崩しにくい状態を維持するとは、

こうしたシンプルな

日常の設計の話です。

何かを足す前に、

一度立ち止まり、自分の状態を観察する。

そして、外に出て少しだけ歩いてみる。

まずはこの「戻る」という感覚を大切にしてみてください。


なかなか元に戻らない「4つのズレ」

日常のズレが積み重なったとき、

体の中では、特に元に戻りにくい領域が影響を受けます。

それが、

  • 血糖値
  • 体内時計
  • 自律神経
  • 腸のリズム

です。

これらに共通しているのは、

一度乱れると、その日の休息だけでは回復しにくいという点です。

血糖値の乱高下は、

眠気や集中力低下、慢性的な疲労感につながります。

体内時計のズレは、

睡眠・代謝・ホルモン分泌を巻き込み、

「なんとなく調子が悪い状態」を固定化します。

自律神経の偏りは、

休んでいるのに回復しない、

常に軽い緊張が抜けない状態を生みます。

腸のリズムの乱れは、

消化だけでなく、気分や不安感、全身の調整力に影響します。

これらはそれぞれ独立した問題ではなく、

互いに影響し合いながら慢性化していくことが、

多くの研究で示されています。

だから健康とは、

症状が出てから対処する話ではありません。

ズレが「通常」になる前に、元に戻せる余地を残しておくこと。


次回(第2部)では、

この4つの中でも特に日常行動の影響を受けやすい

私たちの体のエネルギーインフラである

「血糖値」に焦点を当てます。

なぜ血糖値は乱れやすいのか。

そして、なぜ「歩くこと」が、

最強の血糖値コントロール術なのかを

詳しく解説します。

お読みいただきありがとうございます。


【健康のため、だけではない】

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頑張ることも必要ですが、まずは自分にとっての健康な状態というのはどういうものか、ゆっくり考えてみると良いかもしれません。参考になりそうなテキストを置いておきます。ぜひ読んでみてください。

このブログでは、日常のふとした瞬間に感じる「生きづらさ」や、

心身の健康、そして人生を少し面白くする視点について綴っています。

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