心配こそ、脳の安息の地
前回の記事では、
私たちの脳がいかに怠惰で、
いかに「考えなくて済ませる」方向に最適化されているか、
その輪郭を見てきました。
脳は勤勉ではない。
むしろ、何もしないために全力を尽くす装置。
ここまでは、
「なるほど、そういう設計なのか」で一度納得できます。
けれど、
一つだけどうしても残る違和感があります。
怠惰なはずの脳が、
なぜか 心配だけは、やたらと勤勉 だという点です。
なぜ怠惰なのに、こんなにも心配するのか
行動することは後回しにする。
決断も先延ばしにする。
できれば現状を変えたくない。
それなのに、
まだ起きてもいない未来については、
延々と考え続けてしまう。
「もし失敗したら」
「うまくいかなかったら」
「あとで後悔するかもしれない」
これは、意志が弱いからでしょうか。
それとも、考えすぎる性格だからでしょうか。
行動経済学の視点から見ると、
答えはもう少しシンプルです。
脳は、行動よりも心配を選ぶ設計になっている。
行動と心配のコストを比べてみる
脳は常に、
コストとリターンを天秤にかけています。
ここでいうコストとは、
お金や時間だけではありません。
・エネルギー
・失敗の可能性
・評価されるリスク
・現実が変わってしまう不確実性
行動には、これらが一気にのしかかります。
一方、心配はどうでしょうか。
体は動かさなくていい。
現実は何も変わらない。
それなのに「ちゃんと向き合っている感覚」は得られる。
脳から見れば、
これはかなり都合がいい。
心配は、低コストでできる疑似行動
と言ってもいいかもしれません。
心配は「安息の地」になる
心配している間、私たちは行動していません。
でも同時に、何もしていないわけでもない、と感じられる。
ここが重要です。
心配は、
「無為」と「行動」のあいだにある、
とても居心地のいい場所。
動かなくていい。
失敗もしない。
でも、責任を放棄している感じもしない。
だから脳は、
そこに長居したがる。
これが、
心配こそ脳の安息の地
と言える理由です。
不安が消えないのは、弱さではない
多くの人が、
「こんなに心配してしまう自分はダメだ」
と考えます。
でも実際には、
心配が消えないのは、
あなたが弱いからではありません。
脳が、
一番コスパのいい選択をしているだけ。
行動よりも心配のほうが、
・安く
・安全で
・失敗しにくい
そう見積もられている。
それだけの話です。
問題は「心配」そのものではない
ここで誤解してほしくないのは、
心配そのものを否定する話ではない、ということです。
心配は、
危険を避け、
慎重に生き延びるための機能でもあります。
問題になるのは、
心配だけが最安値になってしまうこと。
行動のコストが過大に見積もられ、
心配のコストが過小評価されると、
人はずっと動けなくなる。
次に考えるべきこと
ここまで来ると、
自然に次の問いが浮かびます。
では、
この「心配のほうがコスパがいい」という状態を、
どう扱えばいいのか。
心配を消すのか。
怠惰な脳を叱るのか。
おそらく、どちらでもありません。
必要なのは、
脳の見積もりを少しずつ変えていくこと。
次回は、
「それなら、やってもいいかも」
と脳が感じる状態を、
どう作っていくか。
克服ではなく、
付き合い方としての話をしていきます。
静かな話ですが、
日常の多くの場面にそのままつながるはずです。
お読みいただきありがとうございます。
【あとがき:たまには、脳を遊ばせてあげる】
「ちゃんとしよう」と思えば思うほど、脳は省エネのために心配事を繰り返します。
そんなループを止めるには、物理的に「別の世界」へ連れ出すのが一番。
一冊の本、一枚のアルバム。
そんな小さなきっかけが、固まった脳のスイッチを切り替えてくれます。
理屈は後回し。まずは、直感で「いいな」と思えるものに触れてみてください。
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心配こそ、脳の安息の地
- 心配こそ、脳の安息の地── 行動よりも心配を選ぶ理由 ① 「なぜ私たちの脳は、こんなにも怠惰なのか」
- 心配こそ、脳の安息の地── 行動よりも心配を選ぶ理由 ② 「心配こそ、脳の安息の地」
- 心配こそ、脳の安息の地── 行動よりも心配を選ぶ理由 ③ 「それならやっていいかも」
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