「それなら、やってもいいかも」
── 心配のコスパを少しずつ下げるという考え方
ここまで、
私たちの脳がいかに怠惰で、
そしていかに合理的に
「心配」という選択肢を選んでいるかを見てきました。
心配は、脳にとってコスパがいい。
低コストで、
危険を回避している感覚があり、
しかも現実を動かさずに済む。
だから、心配こそが脳の安息の地になる。
ここまで理解すると、次に浮かぶ問いは自然に決まっています。
では、この状態をどう扱えばいいのか。
心配をやめるべきなのか。
無理に行動すべきなのか。
結論から言うと、
どちらでもないと思います。
克服しようとすると、たいてい失敗する
「もう心配しないようにしよう」
「とにかく動こう」
この発想は、一見まっとうです。
でも、脳の立場から見ると
かなり無理があります。
心配は、脳が選んできた最安値の選択肢です。
それをいきなり奪われたら、
脳は当然、抵抗します。
結果として、
・余計に不安が増える
・動こうとして止まる
・自分を責め始める
こういう悪循環に入りやすい。
だから、
心配を「克服する」という考え方そのものが、
あまり相性がよくない。
見直すべきは「コスパの見積もり」
ここで視点を変えてみます。
問題は、心配があることではありません。
心配だけが、
圧倒的にコスパのいい選択肢になっていることです。
ならば、やることは一つ。
心配を減らすのではなく、
心配のコスパを少しずつ下げる。
同時に、行動のコスパを少しだけ上げていく。
これは性格の話ではなく、
設計の話です。
「それなら、やってもいいかも」を作る条件
脳が動くのは、「正しいとき」ではなく、「安いとき」です。
だから、行動するときに念頭に置くのは、次のような条件です。
途中でやめてもいい。
結果が出なくてもいい。
評価されなくていい。
失敗しても取り返せる。
これらが揃うと、行動のコストは一気に下がります。
ここで目指すのは、勇気ではありません。
「それなら、やってもいいかも」と脳がつぶやく状態です。
不安があるまま、少しだけ動く
大切なのは、不安が消えてから動こうとしないことです。
不安は、脳が安全確認をしている証拠でもあります。
完全に消えることは、まずありません。
だから、「不安だけど、5分だけやる」
「心配しているけど、触ってみる」
この程度で十分です。
行動の目的は、成功することではありません。
「思ったほど高くなかった」
という実測値を、脳に渡すこと。
これが積み重なると、
心配の優位性が少しずつ崩れていきます。
人にとっていいのは、強くなることではない
このシリーズで伝えたかったのは、
前向きになろう、という話ではありません。
不安をなくそう、
怠惰を直そう、
そういう話でもない。
人にとって本当にいいのは、
脳が安心して動ける環境を用意することです。
責めず、
急がせず、
選択肢を奪わない。
その中で、
心配以外の選択肢が
少しずつ見えてくる。
心配は敵ではない。ただ、居座らせすぎない
心配は、あなたを守ろうとしてきました。
だから追い出す必要はありません。
ただ、
そこが唯一の居場所にならないようにする。
心配のほうがコスパいい、という状態を、ほんの少しずつ崩していく。
その先にあるのは、大きな変化ではなく、小さな納得です。
「今日は、少しだけ動けた」
「思ったほど大変じゃなかった」
その積み重ねが、脳の見積もりを静かに書き換えていきます。
それで十分です。
心配こそ、脳の安息の地。
でも、
安息の地は一つでなくていい。
このくらいの距離感が、
人間という設計には、
ちょうどいいのだと思います。
心配は、弱さではありません。
脳が選んできた、もっとも安い居場所です。
だから無理に追い出さなくていい。
ただ、そこだけに住み続けなくてもいい。
「それなら、やってもいいかも」
その一歩が生まれる余地を残す。
それで、人はちゃんと前に進めます。
お読みいただきありがとうございます。
【あとがき:たまには、脳を遊ばせてあげる】
「ちゃんとしよう」と思えば思うほど、脳は省エネのために心配事を繰り返します。
そんなループを止めるには、物理的に「別の世界」へ連れ出すのが一番。
一冊の本、一枚のアルバム。
そんな小さなきっかけが、固まった脳のスイッチを切り替えてくれます。
理屈は後回し。まずは、直感で「いいな」と思えるものに触れてみてください。
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心配こそ、脳の安息の地
- 心配こそ、脳の安息の地── 行動よりも心配を選ぶ理由 ① 「なぜ私たちの脳は、こんなにも怠惰なのか」
- 心配こそ、脳の安息の地── 行動よりも心配を選ぶ理由 ② 「心配こそ、脳の安息の地」
- 心配こそ、脳の安息の地── 行動よりも心配を選ぶ理由 ③ 「それならやっていいかも」
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心身の健康、そして人生を少し面白くする視点について綴っています。
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