自由と不安のトレードオフ
自由が増えたのに、不安が減らない理由
現代は、かつてないほど自由な時代だと言われます。
住む場所を選べます。
働き方を選べます。
人との関係の距離さえ、自分で決められるようになりました。
それにもかかわらず、不安は消えていません。
むしろ、以前よりも強くなったと感じる人も多いのではないでしょうか。
自由になったはずなのに、なぜか落ち着かない。
この感覚には、きちんとした理由があります。
自由と不安は、対立するものではありません。
同時に増えるものです。
選べるということは、引き受けるということ
自由とは、選択肢がある状態です。
選べるということは、決めなければならないということでもあります。
そして、決めるということは、その結果を引き受けるということです。
かつての社会では、選択肢は多くありませんでした。
生き方も、役割も、ある程度決まっていました。
その代わり、迷う余地は少なく、不安も限定されていました。
自由が広がると、正解は消えます。
誰かが用意した道はなくなります。
その代わり、すべてが「自分の選択」になります。
不安が生まれるのは、自然なことです。
不安は、自由の副作用である
不安は、失敗のサインではありません。
自由を使っている証拠でもあります。
選ばなければ、不安は生まれません。
迷わなければ、責任も生じません。
だから、不安を感じること自体を否定する必要はありません。
問題は、不安を消そうとしすぎることです。
不安をゼロにしようとすると、
私たちは無意識に、自由を手放す方向へ向かってしまいます。
群れは、不安を引き受けてくれていた
このシリーズで見てきたように、
群れや共同体は、不安を分散する装置でした。
協力すること。
信用を積み重ねること。
役割を分け合うこと。
そうした仕組みの中で、
個人が引き受ける不安は小さくなっていました。
その代わり、自由は制限されていました。
現代は、その逆です。
自由は増えました。
しかし、不安を引き受ける主体は、個人に戻ってきました。
自由とは、不安を抱えられる余白
ここで、自由を理想化しすぎないことが大切になります。
自由とは、安心しきった状態ではありません。
むしろ、多少の不安を含んだ状態です。
完全に安心したいなら、
誰かに決めてもらうほうが楽です。
不安を減らしたいなら、
選択肢を減らすほうが簡単です。
それでも自由を選ぶということは、
不安と共に生きることを選ぶ、ということでもあります。
市井に生きる私たちの、現実的な自由
自由・協力・信用・個人・群れ。
どれか一つだけを選べば済む話ではありません。
近づきすぎず、離れすぎず。
依存しすぎず、孤立しすぎず。
不安を否定せず、飲み込まれすぎず。
その微調整を続けること。
それが、市井に生きる私たちにとっての自由です。
自由とは、
不安のない場所ではなく、
不安と折り合いをつけられる距離に立つこと。
そう考えると、
自由は特別な理念ではなく、
日々の生活の中で行われる調整の積み重ねなのかもしれません。
おわりに
このシリーズでは、
経済を、制度や数字からではなく、
人間の行動や感覚から見てきました。
未来を信じる脳。
見返りの遅れ。
協力。
信用。
群れへの恐怖。
距離の取り方。
その先にあるのが、
自由と不安のトレードオフです。
経済とは、
安心を最大化するための装置ではありません。
不安と共に生きるための、
人間的な調整の仕組みなのだと思います。
市井から考える経済は、
ここで一度、静かに幕を下ろします。
お読みいただきありがとうございます。
【編集後記:揺らぐ時代の、揺るぎない相棒を】
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